第56回歌舞伎観劇会報告

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2026年1月17日、総勢45名の参加を得て歌舞伎観劇会を持ちました。場所は新国立劇場中劇場での国立劇場企画公演、演目は「通し狂言鏡山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)」でした。

天明2年(1782年)初演されたこの狂言は「女忠臣蔵」とも呼ばれますが、鎌倉館の奥御殿で起こった女の闘いのドラマです。お家転覆の陰謀に加担する局の岩藤は、秘密を知られた中老尾上を排するため、草履で尾上を打つと言う屈辱を与えます。商家出の尾上は忠義一途で主の覚えも厚く、親孝行の人です。じっと屈辱に耐えながら決意を固めます。年若い尾上の召使お初は武家の娘、主一筋の正義感にあふれた娘です。ドラマは尾上の屈辱に耐えかねての自害から、お初による仇討の成就、お初の二代目尾上の襲名の大団円と進みますが、ドラマ自体は単純です。芝居のしどころは、三人の役柄の違い(歌舞伎では役の性根とか(はら)と言いますが)を各々の役者が演じ分けられるかでした。岩藤は立役の坂東弥十郎、尾上は中村時蔵、そしてお初が八代目尾上菊五郎です。観劇後の皆さんから三人の芝居にご満足の声を多く聞きました。三人がそれぞれ実力を出し切っての演技でした。

今回の公演の話題は、八代目菊五郎の当会では初めてのお目見えと親父さんの七代目菊五郎との共演、すなわち「二人菊五郎」の登場でした。最後の今回書き加えられた「右大将頼朝花見の場」では、陰惨な仇討劇から一転、桜満開の鶴岡八幡宮に替わり、にこやかに登場したのが七代目菊五郎の源頼朝でした。 菊五郎が二人同じ舞台で活躍という稀にみる舞台も堪能していただけました。歌舞伎界は、十三代目団十郎、十代目幸四郎に、八代目菊五郎と同世代の三枚看板が揃いました。

終演後、17名の御参加をいただき懇親会を隣のオペラシテイビル53階の「北海道」で持ちました。毎回のことながら、楽しい時間をすごすことができました。

次回は、5月23日、北千住シアター1010 での文楽公演の観劇会を催します。出し物は、昭和53年以来の通し上演「生写朝顔話(しょううつしあさがおばなし)」です。

宇治の蛍狩で一夜の愛を交わし再会を約した若い二人が、数奇な運命から、すれ違いを繰り返しながら最後に結ばれるという純愛物語です。昭和のラジオドラマ「君の名は」の原型に擬せられます。「君の名は」の放送は昭和27年4月から29年4月まででした。20時30分から21時の放送時には「女湯がカラになった」のも、もはや遠い伝説になりました。多数の御参加を御願いします。ご案内は3月中旬になります。

                             以 上(神村安正)

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