渋沢栄一研究会

1. 目的

令和に入って益々人生100歳時代になりますが、江戸幕末・明治・大正・昭和を生き抜いて91歳の天寿を全うした渋沢栄一ですが、その活躍は日本資本主義の父あるいは日本近代化の父と称せられています。一般社団法人ディレクトフォースの会員の平均年齢は73歳前後と思われます。大活躍した渋沢翁の天寿まで、まだ平均して20年弱の歳月があります。

現在の我が国を取り巻く国際情勢や国内の解決すべき問題は山積みと言っても差し支えありません。願わくは渋沢栄一の人生とその社会的な活動を研究することによって、「日本国家及び世界の新しいあるべき秩序形成へ向けての、思考力や発信力を養っていく」ことを目指していくことです。

2. 手段

渋沢栄一の研究方法は数多くあると思いますが、最初に企業人OBや組織人OBが多いディレクトフォースの特徴に鑑みまして、「渋沢栄一の追体験」を通じて行ってみることにしました。そのために経済小説家の誉れ高い城山三郎氏の『雄気堂々』の読書会形式を通じて、実行することにしました。

小説『雄気堂々』は栄一(19歳)と妻千代との祝宴のシーンから始まります。生まれ故郷の血洗島での渋沢栄一の生涯の始まりです。小説は栄一43歳(明治16年)の頃で終わっています。NHK大河ドラマ『青天を衝け』の放映もあり、書店に行けば例えば『渋沢栄一完全ガイド』なるものがあり、誕生からの年表を見ることができます。また小説『雄気堂々』の後の実業家活躍時代の続きや民間国際交流活動や慈善活動、女子教育を含む教育支援活動などと共に国際情勢を含む時代背景などその概略を知ることができます。(その意味で本読書会形式は渋沢栄一研究の入り口かもしれません)

また城山三郎独自のタッチで、「渋沢栄一の人生に関わる出来事」や「渋沢栄一の人生観など」を、凝縮した「言葉」や「概念」で言い表しています。小説の醍醐味と言えるでしょう。渋沢栄一の前半生を追体験しながら、渋沢栄一に降り注ぐ数々の諸相を垣間見ていくことができます。それを読書会のメンバー間で発表・意見交換する中で、「青年期までに形成された思想や渡欧体験で学び取った思想、そこから滲み出る構想や編み出される構想を実行して実現させた渋沢栄一」を現代において追体験していくこと。また渋沢栄一個人を超えた「時勢の力」や「天命と思われるもの」などをも感じ取り、考えていくことによって、「日本国家及び世界の新しいあるべき秩序形成へ向けての、思考力や発信力を養っていく」ことの研究会としていきたい。その第一歩が読書会形式による発表・討論・意見交換であります。そのあとは参加メンバー全員で、渋沢栄一研究の次の方法論を考えていきたいと思います。

連絡先 濱名均(734)
hkin905@ab.cyberhome.ne.jp