第五回東アジア放談会は、6月3日午後2時半から“中国をめぐる「石油」をテーマに話し合われました。台風の影響で全員Zoomオンライン会議となりましたが、17名の方が参加されました。
基調報告者の中西さんから、貴重な資料が配布され、それを拝見しながらの放談会となりました。ほとんど全ての参加者からご意見、ご質問がでる談論風発の会合となりました。

時々、話題が中国から他の地域の問題へと軌道がそれましたが、如何にエネルギー問題が私達に切実なものかを知るよい機会になったと思います。
会議の要約
初めに、中国は、日産100万バレルを誇る大慶という超巨大油田があるなど、国内各地でも油田が多く世界で5位という上位の石油生産国であること、そして、それを上回る大量の石油消費国となっていること、その結果、巨大な国内石油上流産業が成長し、大手開発企業がアフリカ、南米、中東他の国々への影響を及ぼしているとのご説明を受けました。
一方で、日本の石油探査・開発の歴史(満州での探査、地震探査技術の未導入、イラン・北スマトラでのプロジェクトなど)や、日本の石油上流産業の変遷のご紹介がありました。第二次大戦前の山本五十六元帥と石油の関係から1970年代までの迷走の経緯まで詳しく述べられました。
中国は1993年に石油輸入国となって以降、中東へは2000年代に、やや遅れて進出したが、これは中東におけるメジャーの力が強く、参入が難しかったという見解が示されました。2000年以降は数社が湾岸諸国に石油・LNG共、権益を伸長させていることがわかりました。過去の日本のIJPC等石油産業の中東進出が挫折したこととの対比が印象的でした。
最後に日中間の争いとなった東シナ海のガス田開発をめぐる歴史的経緯、その経済的意義や、国境をまたぐ資源開発の問題等についての説明がなされました。国交回復に絡む政治上の背景も加わり、問題の複雑さが浮き彫りになりました。
オイルビジネスの世界では国境線に関わらず、先に採掘をした方が勝ちという現実がいたるところであるという話を日本の外務省が理解しているのかという指摘もありました。
放談会
以下、様々な放談を簡略化したものを記載いたします。
習近平体制は、マレーシア等の第三国経由で輸入するなど目立たたないようにしてきたが、近年、4千億ドルの対イラン投資協定(25年間で)を結んでおり、関係は深いといえます。
東シナ海のガス田開発はガス田として小規模であるが、上海に近いし、中国にとって利用価値はあります。本来なら日中中間線東側の共同開発が望ましいが、今となっては困難といわざるを得ない状況です。ただ、日本の企業にとってはあまりメリットがある開発ではなかったとの見解が示されました。
類似の例として、国境をまたぐ資源開発は1990年にイラクがクウェートに侵攻した理由は油田開発をめぐるものでした。カタールとイランの間のガス田の開発も似ています
帝人がイランの石油開発に参入するなど、かなり昔は日本も海外での資源開発に前向きでした。東シナ海の開発も日本側が最初着手したのに、拱手している間に中国が本格的に乗り出し、その後、関係がこじれてしまったという経緯があります。
資源確保のために、ジャパン石油開発は設立されましたが、結局合弁事業の難しさや経済環境の変化から失敗しています。これまで日本の石油ビジネスは、企業ごとのバラバラな開発となっており、世界のスタイルとは違ったものであったということが教訓として残りました。今、生き残っているのはわずかにINPEXだけです。イランでの石化コンビナートのIJPCの挫折にまで話がおよびました。
資源開発ばかりでなく、イラクでは、それに関連した産業も大変な目にあったという話も紹介されました。
中国の今の状況で資源開発の問題を果たして自然体で議論できるのかという懸念も示されました。かたや、日本にもその雰囲気がないことへの憂慮も示されました。当面は、中国のインテリや官僚等へ日本から“ポジティブ”な意見を伝えることくらいしかできないのではという考えも示されました。資源開発に関していえば、中国ではレアアースについての関わりがあるが、当時、あまり摩擦や苦労は感じなかったという感想もありました。
資源開発の技術者についても質疑応答がされ、中国と比べても日本は相応の石油関連の技術者が揃っているという見解がだされ、日中共同開発における問題は少ないと見られる一方、その他の地質工学関連では技術者が全く不足しているという意見もだされるなど新たな問題が表出してきました。
中国が石油開発で大規模進出をしたとしても、生産量ではアメリカに勝てないという現況認識から、再生エネルギー等、他の分野でエネルギーを確保し、アメリカとの対立に勝とうとしている意見がでました。日本の再生可能エネルギー開発問題についても話が及び、投資の失敗、判断の難しさについての事例が共有されました。このままいくと海外にエネルギーを依存する限り、貿易赤字は更に拡大し、日本が世界に劣後することが心配されます。
中西さんの資料は以下、会員限定でご覧頂けます。
以 上(宮田顕 東アジア放談会 世話役)


