第89回の例会は、2025年5月28日(水)対面+Zoomリモートのハイブリッドで開催し、対面で7名、オンラインで4名が参加しました。
今回の報告は新入会員の沼田茂さん(会員番号1493)で、昨年12月ご夫婦で初めての南極クルーズをされたときの極地旅行を「南極探検とアルゼンチン・イグアスの滝」の題目で、1時間半余り詳しくご報告していただきました。
沼田会員は、学生時代に海外留学やバックパッカーを体験されており、海外での経験をDFメンバーと是非シェアしたいと、この度海外旅行研究会に入会されました。昨年7月にはベトナムを旅され、今年の3月は米国のグランドサークル、ラスベガス、サンフランシスコなどを訪れるなど、退職後は海外あちこちへ足を延ばし、海外旅行をエンジョイされています。今年7月には世界一周切符でヨーロッパと米国を旅される予定と伺っており、今後も海外での興味深い想い出を研究会のメンバーに語ってくれるものと思います。
例会後の懇親会は、DF事務所から5分余りの近場にある中国家庭料理店で昼食会を行い、6名が参加しました。酒が入ると参加メンバーからあちこちの国でのスリ・盗難・忘れ物などの失敗談で大いに盛り上がり、円安と物価高の中にあっても次の海外旅行への夢が広がり、あっという間に2時間が過ぎ、大変楽しい集いとなりました。
次回例会は発表者を募集中ですが、今年の秋頃に開催したいと考えております。どうぞお楽しみに!
海外旅行研究会に関心のある方は、是非、世話役(山本明男)までご一報ください。
<問い合わせ先 a11389y@gmail.com 山本明男>
以下は、沼田新会員のエキサイティングな冒険旅行記です。
「南極探検とアルゼンチン・イグアスの滝」
沼田 茂
2024年12月極地、南極旅行を決行しました。海外旅行研究会で発表させて頂きました内容を報告させて頂きます。
私は昨年11月末日をもって会社勤めの生活を終了させ、ワークライフバランスを大きく変える生活に変更、ライフのバランスを退職後の生活の中心に致しました。ライフの部分は3年ほど前から始めたゴルフと今回の報告となる海外旅行に大きくシフト致しました。南極旅行はその第一弾!どこに長期旅行へ行こうかと考えた時、一番行くことが難しく、体力もいるであろうと思われる所をリストアップした結果、南極旅行が第一候補となり、そんな経緯で南極旅行を決行しました。
当報告では、(1)南極への道のり、(2)準備編、(3)ブエノス・アイレスとイグアスの滝観光、(4)南極での体験 の順番で旅行記をご紹介します。
(1)南極への道のり
海外旅行に出る時は、基本は自由旅行、個人で飛行機・ホテルなどをアレンジして旅に出るのですが、さすがに南極は個人旅行では行くことが出来ません。一般的なルートはアルゼンチンの南端ウシュアイアから船または飛行機で行くか、オーストラリアから飛行機で行く経路で、極地旅行を扱う旅行社で色々なツアーが組まれています。今回は南極への王道、アルゼンチンのウシュアイアから船で南極に渡る経路を選択。国内でブエノス・アイレスから南極へのツアーを予約しました。
ブエノス・アイレスまではニューヨーク経由で移動、フライト時間は乗り継ぎ時間を除いて合計24時間でした。南極のツアーは下記のクルーズライフ社で手配を致しました。
クルーズライフ(https://www.cruiselife.co.jp/)

(2)準備編
ブエノス・アイレスから南極へのラウンドトリップは手配したので、引き続き装備などの準備と南極でのオプションを検討しました。南極への船旅には南極へのクルーズと上陸、ヘリコプター乗機が含まれていました。その他南極でのオプションがいくつか設定されていましたが、せっかく行くのだから…と空きのあった「シーカヤック」に勢いで申し込みをしてしまいました。申し込みをしたもののシーカヤックは遊びでの経験があるくらい、マイナス10度を想定する海でのシーカヤックをどうしようかと。。。

これは練習しかない!と考え、出発前の3ヶ月三浦の海で特訓?を敢行しました。いくつかシーカヤックを行っているショップを訪問、三崎口近くにある「オーシャン&スカイ」さんに通い、基礎から教えて頂きました。この体験は怪我の功名、すっかりシーカヤックのファンとなり趣味を一つ増やすきっかけとなりました。
続いて持ち物と装備ですが、冬の北半球から真夏のアルゼンチン、そしてドレーク海峡を渡ると、そこは夏とは言えマイナス10度の世界。しかも3週間にも渡る旅なので考えることが盛り沢山でした。
南極での装備は指定されているものが多かったのですが、基本は冬山装備です。色々と見て回った結果、行き着くところは「モンベル」でした。お店の方には質問攻めで、大変勉強させてもらいながら装備を買い揃えることができました。その他、旅行中の洗濯や海外へ行く時の必帯品である最新の充電式ハンディーウォシュレットなどを買い揃え、準備を進めました。
加えて是非とも動画で南極を記録したいと考え、動画カメラの選定を重視しました。今回選んだのは「DJI Action Pro」です。一般にはアクションカメラはGoProが有名ですが、ドローンメーカーであるDJIのアクションカメラの性能は素晴らしく、画像、録画時間、低温下での駆動時間、サイズなど、ほぼすべてで満足の性能でした。旅行で動画をお考えの方には是非おすすめです!

出発前3ヶ月程度の準備期間にテンションも上げながら、いよいよ2024年12月4日に羽田をたち南極に向かいました。
(3)南米ブエノス・アイレスとイグアスの滝観光
<日本からブエノス・アイレスへ>
スケジュール通り2024年12月4日羽田を発ち、ニューヨークでトランジット、ブエノス・アイレスへ向かいました。ニューヨークでは行き帰り共に0泊1日で観光、時差があるのでブエノス・アイレスには翌5日午前に到着しました。フライト時間は延べ24時間、冬から真夏への移動でした。詳細は割愛しますがブエノス・アイレスの街は気に入りました。「南米のパリ」と言われる通り美しい街並みで、表通りを歩く分には危険は感じませんでした。
ブエノス・アイレスでは各所の観光と合わせて帰りには1泊2日でイグアスの滝への小旅行も行い大変良い体験をすることが出来ました。



ブエノス・アイレスの所感を箇条書きすると、
- 真夏でしたが乾燥しているので気候の不快感はありませんでした
- 表通りを歩く分には滞在中に街中で危険は感じませんでした
- 物価は日本とほぼ同じ感覚
- 食事は肉がメイン、肉の味は良いのですが味付けがほぼ無い
- 観光客に対してもフレンドリーで明るい国民性は良かった
- タンゴショーは予想外に良かった。素人目にもレベルの高いショーを見れた
- イグアスの滝は凄い!以前ナイヤガラの滝も観たが、比では無い迫力!
- 行き帰りでイグアスへの小旅行を含め5日ほど滞在したのですが、行く価値のある街でした
(4)南極での体験
<南極旅行の概要と南極までの道のり>
乗船は先ずブエノス・アイレスの指定ホテルに宿泊、ドメスティックの空港からチャーター便で南米の南端、ウシュアイアまで移動しました。
ここで残念だったのは、ウシュアイアから乗船する前に、数日ウシュアイア周辺を観光するべきでした。ウシュアイアはパタゴニアの山々の麓でもあり、綺麗な街並みと自然が豊富にありました。南米の端まで行くのであれば、もう少し時間を使うべきであったと後悔です。

ウシュアイアから乗船し南極に向かうのですが、ここから南極圏へのツアーが色々と出ています。南極に上陸出来なくてもペンギンを見に行くなどの小旅行も可能です。南極に上陸するツアーはどの船もほぼ同様で、1週間程度で南極半島までの往復クルーズツアーになります。私の参加したツアーは、ドレーク海峡を渡るのに片道2.5日、往復5日、南極半島で5日の合計10日間のクルーズツアーでした。
乗船した船はクォーク・エクスペディションズの「ウルトラマリン」で、2021年に就航した比較的新しい船でした。(https://www.quarkexpeditions.com/)
南極旅行と言ってもクルーズ船はホテル並みのファシリティで、館内には2つのレストラン、ジム、サウナ、エステがあり、食事もオールインクルーシブでした。また、空から体験できるヘリコプターを1台搭載しています。

ちなみに南極に一度に上陸できるのは乗客百人までです。この船の定員は199名、一回の停泊で半舷ずつ上陸出来るので、午前と午後の停泊で全員が2回上陸出来る乗員設定になっています。ツアー代金の安い船は乗客数が多いため、上陸回数が減ってしまうようです。
船内での過ごし方は、往復のドレーク海峡ではコマで講義が行われ、地学、生物学、歴史学の勉強を行ったり、ジムへ行くなど、各々の過ごし方が出来ます。ドレーク海峡は太平洋と大西洋の繋ぎめ、世界でも有数の荒れる海なので普段船酔いの無い私も少々やられました。
<南極での体験>
翌日の停泊地は天候に合わせて前日に決まります。夕食の後ブリーフィングが行われ、翌日の予定を説明。当日朝に部屋の Android TV で確認します。船のスタッフはみなプロフェショナルで、スケジュール調整など最適な旅程を組んでくれました。実際に南極で上陸した地点などは下記になります。

実際の南極での行動の一例として、12月12日の私たちの予定を紹介します。
08:00- | Paulet Island近くまでエンジン付きゴムボートで移動 シーカヤックに乗り換え沿岸をパドリング |
10:30- | 上陸、同島を雪上トレッキングとペンギンの観察 |
12:30- | 島からボートで戻り昼食 |
14:00- | 昼食の間に船が移動し別ポイントに停泊、船を出てシーカヤックでパドリング |
17:00- | 帰船 |
18:00- | 夕食 |
天候が荒れて半日しかアクティビティの出来ない日もありましたが、ほぼ上記が5日間繰り返すのでなかなかハードでした。それだけ密度の高い5日間を過ごすことが出来ました。上陸した地点では他では決して見ることの出来ない風景を楽しんだり、間近でペンギンを見たり、ここでしか出来ない体験ができました。
<写真⑩> <写真⑪> <写真⑫> 上陸した際に見たペンギン達



特訓?をして臨んだシーカヤックは素晴らしかったです。三浦の海とは違い、氷山の浮かぶ海の上を自分の意志で動き、海抜0m の視点で南極を見ることが出来ました。また手漕ぎの良さ、南極の氷山の軋む音、海鳥の鳴き声、波の音など、それぞれ忘れることのできない体験でした。
<写真⑬> <写真⑭> 南極でのシーカヤック体験


そしてシーカヤックは航海中約10人のメンバーが固定で行動を共にしたので、メンバー達と大変仲が良くなり友人関係を築くことも出来ました。ちなみに先日は南極で一緒のシーカヤックメンバーの娘さんが日本に来たので、東京をアテンドしてあげる機会もありました。シーカヤックに限らず仲良くなったご夫婦もいたり、自然を体験するに止まらない経験は私の中にずっと残ると確信しています。

世界中を旅された方と一緒に飲みながら「これまで世界中を旅してきたが、まだ行ってない所だから南極に来たけど、今までに行ったどこよりも素晴らしかった」とおっしゃっていました。なかなか行くにはハードルの高い場所ですが、最高の価値のある所と思っています。皆さんも機会があれば是非南極へ!
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
以 上(山本明男)